「これからはゼロトラストです」と提案を受けたとき、何を確認すればよいのでしょうか。ゼロトラストは特定の製品を指す言葉ではありません。政府の基準にも、そう書かれています。この記事では、提案を受けた側が判断するための4つの確認事項をまとめました。専門知識がなくても確かめられる項目だけを取り上げています。
ゼロトラストは、製品の名前ではありません
ゼロトラストとは、考え方の名前です。
社内のネットワークからの接続だから安全、という前提を置かない。そのつど、誰が、どの端末から、何にアクセスするのかを確かめる。そういう設計の思想を指します。
政府が定めた「政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準」にも、明確に書かれています。ゼロトラストは論理的、構造的な考え方であり、特定の実装やソリューションを指すものではない、と。
つまり、「ゼロトラストを導入する」という言い方には、本来なら中身の説明が必要です。何を、どこまで変えるのか。そこが示されていない提案は、確認すべき点が残っています。
提案を受けたら確認したい4つのこと
1 いま何が困っているのかを、先に説明してくれるか
良い提案は、現状の確認から始まります。
いまどこにリスクがあり、それを直すために何を入れるのか。この順番で話が進むかどうかを見てください。
商品の説明から入り、現状の話が出てこない場合は、いったん立ち止まる場面です。困りごとが特定されていなければ、それが解決したかどうかも判断できません。
2 導入したあと、誰が運用するのか
仕組みは、入れて終わりではありません。
設定を見直す人、通知を確認する人、何かあったときに最初に気づく人。それぞれ誰が担当するのかを、契約の前に決めておく必要があります。
「あとはお任せください」で済ませず、具体的に誰が何をするのかを書面で確認してください。ここが曖昧なまま導入すると、動いているのかどうかも分からない状態になります。
3 「これを入れれば安全」と言っていないか
安全を約束する言い方には、注意が必要です。
2026年9月、デジタル庁は、複数の府省庁などが利用する政府共通の業務環境が、外部から不正アクセスを受けたと公表しました。漏えいの可能性がある個人情報は、約24.6万件とされています。
この環境は、ゼロトラストの考え方を採用していました。それでも、侵入を完全に防げるとは限りません。ゼロトラストは、侵入を防ぐことに加えて、侵害が起きたときの影響を小さくすることまでを含む考え方だからです。
この事案の詳細は、テクノロジーメディア「innovaTopia」に記事を書いています。件数の読み方や、対象になり得る人の範囲までまとめました。
デジタル庁GSSに不正アクセス|個人情報24.6万件が漏えいの可能性
**ゼロトラストは、侵入をゼロにする約束ではありません。**そう説明してくれる相手のほうが、信頼できます。
4 見積もりに、更新と点検の費用が入っているか
導入費用だけの見積もりは、全体像を示していません。
先ほどのデジタル庁の事案では、侵入の入口になったのは、すでに公表されていた既知の弱点でした。修正プログラムを当てる前に悪用されています。
つまり、仕組みを入れることと、それを最新に保つことは別の作業です。**毎月あるいは毎年、いくらかかるのか。**更新は誰がいつ行うのか。見積もりの段階で確認しておくと、あとの認識のずれを防げます。
小さな会社が、先に手を付けるとよいこと
ここまで読んで、自分の会社には大きすぎる話だと感じた方もいるかもしれません。
規模が小さい事業者の場合、まず効くのは、もっと手前の作業です。
- ホームページやシステムの更新を、期日を決めて行う
- 更新を誰が行うのか、担当を決めておく
- パスワードを使い回さない
- 退職や契約終了のとき、アカウントを止める
地味な項目ばかりですが、多くの小規模事業者にとって、まず確認したい基本対策です。先ほどの事案も、入口は既知の弱点で、修正プログラムの適用前に悪用されました。**新しい仕組みを入れる前に、いま動いているものを最新に保つ。**ただし実際の優先順位は、扱う情報やシステムによって変わります。
まとめ
ゼロトラストという言葉が出てきたら、確認するのは次の4点です。
- 現状の困りごとから説明が始まっているか
- 導入後、誰が運用するのかが決まっているか
- 「これで安全」と言い切っていないか
- 更新と点検の費用が見積もりに入っているか
**提案を断るための記事ではありません。**必要な会社には必要な仕組みです。ただ、判断するための材料は、提案を受ける側が持っておいたほうが安心です。
ホームページの運用や更新について、どこまでを誰が担当するか整理したいという段階でしたら、相談を受けています。ご相談とお見積もりは無料です。
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記事で触れた2026年9月の事案について、公表された内容を整理したものです。

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